外注契約を受けていて、「振り込まれた金額が少ない!」と感じたときは、源泉徴収を疑ってみましょう。
源泉徴収というのは、税金の先払いであり、『外注を依頼する側』が外注先へ払うお金から税金を引いて、国へ納めることを言います。
(会社員だと、毎月の給料から引かれている税金)
それを後から確定申告(会社員の場合だと年末調整)で調整することになります。
※イメージ図
【今回の記事】
●源泉徴収される仕事とは
●源泉徴収の目的
源泉徴収される仕事
外注で仕事をしてる場合でも、源泉徴収される仕事と、されない仕事があります。
詳細は、報酬・料金などの源泉徴収 に記載されていますが、簡単にまとめると
1.原稿料、講演料、デザイン料など
2.弁護士、税理士、司法書士など特定の資格者に支払う報酬
3.社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
4.プロスポーツ選手、モデル、外交員などに支払う報酬
5.芸能人、芸能プロダクションを経営する個人に支払う報酬
6.ホステス、コンパニオンなどに支払う報酬
7.プロ野球選手の契約金など
8.広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
となり、最近のフリーランスの仕事では、「講演料・デザイン料」が多いのではないでしょうか。
例えば、人前で講演をしたり、ホームページのデザインをする場合、依頼をした側は源泉徴収をして報酬を振り込んでいます。
この他にも、「個人と専属契約」を結んで仕事をするインストラクターも同じようになる場合があります。
これは、契約書をだけでは分からない部分もありますので、取引先に確認することが必要で、実際に源泉徴収されている場合は、「支払調書」を取引先から取り寄せましょう。
支払調書とは
支払調書とは、支払いをする側が1月末までに税務署に提出(※)しなければならいもので、書式としては会社員が受け取る「源泉徴収票」に似た形をしています。
※提出には一定の要件あり。
これには大きく分けて2種類あり、
①会社員の支払調書
②外注先の支払調書
があり、お金を支払った側は、これを税務署に提出する義務があります。
ここでややこしいのは、源泉徴収をされても「支払調書」が送られて来ない場合があること。
これは、お金を払う側(仕事の依頼者)は、支払を受ける側(仕事を受けた方)へ「支払調書」を提出する義務がないためです。
支払者側も、複数の外注先へ仕事を依頼していると、すべての外注先に対して支払調書を作成するのはかなり手間になってしまうので、税務署に対しては支払調書を送っても、外注先へは送らない場合があります。
ここは、自ら行動するしかなく、振り込まれた金額が少ないと感じたら取引先へ問い合わせをしましょう。
2019年分の支払調書は、遅くても2020年の1月には作成しています。
源泉徴収された税金は取り戻せる場合もあるので、損をせず正しく確定申告するためにも、支払調書の取り寄せをおススメしています。
源泉徴収の目的
では、源泉徴収の目的何なのか?
それは、
・会社員の確定申告の手間を省き、税金を簡単に納めることができる
・国にとって毎月の「安定的な税収を得る」「確実に所得税を徴収する」
という大きなメリットがあり、これにより国と会社員の双方にメリットがあるので、源泉徴収をしてると考えられます。
しかし、これには源泉徴収される側のデメリットもありますが、ここでは省略しておきましょう。
支払調書の目的
支払調書の目的は何かと言えば、それは「反面調査」。
どういうことかというと、
お金を支払った側が、
「フリーランスのAさんに100万円支払った」という支払調書を出すことで、
「Aさんは100万円お金を受け取った」ということも分かります。
これにより国からすると、
お金を受け取った側のAさんには100万円の売上があるということが分かり、確定申告がなかったり、売上が支払調書より少ないと、おかしいとなって税務調査につながる可能性がありますので、注意が必要です。
まとめ
源泉徴収というと、会社員のイメージも強く、フリーランスで働いている方には無関係に思っている方もいるかもしれませんが、実はフリーランスの方こそ、源泉徴収の理解が必要になってきます。
自ら動かないと、税金を多く払ってしまったり、必要な書類が揃えられないこともあります。
外注契約で仕事をしていて、「振り込まれた金額が少ない!」と感じたら、いちど源泉徴収がないか確認しておきましょう。