独立して商売を始めるときは、個人事業主として始めるか、会社を作って(法人で)始めるか、迷うところです。
会社の方がカッコいい、社長になりたい。
そのような考えは、モチベーションになるかもしれませんが、会社を作るのはメリットだけではなく、デメリットもあります。
更に、個人事業主の決算である確定申告とは異なり、会社の決算は複雑になるので、自力で決算をすることは現実的ではありません。
決算は専門家に依頼する必要がありますので、費用が掛かってきます。
今の段階で、個人事業主と法人のどちらがいいか検討したうえで考えてみましょう。
独立→会社が必要か?
素早く、気軽に始めるなら、個人事業主として始めて、事業や売上の拡大に合わせて会社を作るほうがおススメです。
しかし、そうは言っていられない状況もありますので、3つの判断材料を検討してみましょう。
【会社を作る基準】
①会社の必要性
顧客獲得にプラス、取引先にプラス、従業員の採用
②利益が500万円超
税金が変わるポイント地点
③売上が1,000万円超
消費税の納付が必要になるため
① 必要性がある
会社を作るときにいちばん重要なのは、会社を作る必要性です。
取引き先によっては、個人事業主とは取引きをして頂けない場合もありますので、取引上、必要ならば作るしかありません。
最近は、フリーランスが増えて、個人事業主と活動する方もいますが、まだ世の中のイメージは、『個人<会社』。
顧客獲得に会社が必要と感じれば、会社を作るしかないでしょう。
更に、従業員を採用していくことを考える場合も、
『個人<会社』
の印象は強く残っており、従業員の採用を考えているなら、こちらも考えておきましょう。
② 利益500万円を超える場合
事業の利益が500万円を超えてくると、税金は個人事業主よりも会社の方が少なくなります。
これは、個人事業主の税率が利益に応じて上がります(累進課税)。
個人事業主も会社も税金の計算方法は同じで、
『利益×税率=税金』。
利益が増えるか、税率が上がれば、税金は増えます。
ひとつの目安として、利益500万円を超えそうなら会社を作ることを考えましょう。
③ 売上1,000万円を超える場合
こちらは既に個人事業主をしている方が対象になりますが、年間売上が1,000万円を超えたら会社を作ることを考える時期です。
現行の法律では、売上が1000万円を超えたら消費税を納めなくてはいけません。
(厳密には、2年前の売上が1,000万円を超えていたらです。)
1度しかできない節税の方法ですが、消費税の負担は大きいので売上1,000万円を超えたら会社を作ることを考えましょう。
会社を作るメリット・デメリット
会社を作るときの参考として、メリットとデメリットを紹介します。
結論から言うと、
【会社作るメリット】
1.自分の給料が経費になる
2.社会保険へ加入できる
3.出張手当が出せる
4.社宅制度の利用
5.生命保険の加入
【会社を作るデメリット】
1.法人の設立費用が掛かる(約30万円)
2.赤字でも税金がかかる(7万円~)
3.資本金が必要
4.場所を移転するのに費用がかかる
です。
【会社を作るメリット】
1. 自分の給料が経費になる
自分に給料を払うと、払う側(会社)は経費になり、給料を受け取る側(自分)は、給与所得控除という、『支出のない経費』が認められますので、大きな節税になってきます。
2. 社会保険へ加入できる
会社だと、社会保険(健康保険、厚生年金)への加入をすることができて、場合によっては、個人事業主で入る、国民健康保険や国民年金よりも安くなります。
3. 出張手当が出せる
会社で規定を作れば、出張手当が出せます。
払う側(会社)は経費になり、受け取る側(自分)には税金はかからないので、お得な制度です。
4. 社宅制度の利用
会社で社宅契約をして、一定の要件を満たすことで住居が経費になります。
自己負担をゼロにすることはできませんが、自分の手取り額が増やせる制度です。
5.生命保険の加入
保険の加入は節税のために入ることは勧めていません。
しかし、必要に応じて(社長の万が一のために)入っておくことはリスク回避になり、保険の内容によっては経費にもなります。
会社を作るデメリット
会社を作るデメリットは次のようなものがあります。
1. 設立費用が掛かる(約30万円)
会社を作るには、公証役場と法務局への手続きが必要になり、手数料などで30万円ほど。
更に、手続き開始から設立完了まで、2週間ほどの時間も必要になります。
2. 赤字でも税金がかかる(7万円~)
法人は赤字でも税金が発生します。(均等割り)
個人事業主の場合は赤字であれば、税金がゼロになりますので、ここは大きく違います。
3. 資本金が必要
会社を作るときには、資本金を用意しなくてはいけません。
会社にお金をいったん入れて、そのお金を使って事業をしていくことが必要です。
1円でも起業ができると言われていますが、現実的ではありません。
4. 場所を移転するのに費用がかかる
会社の住所を変えると、登記の変更が必要になり、その手続きに費用がかかります。
個人の場合だと、住所変更は特別なことは必要なく、通常の引っ越しと同じように無料でできます(手間はかかりますが。。)。
5.経理処理が複雑
個人事業主の場合だと確定申告、会社の場合は決算が必要になります。
会社だと、自分ひとりで完成させることは難しく、実際には専門家へ依頼するしかありません。
まとめ
会社を作るには時間もお金もかかります。
会社をすぐに作る理由がないのであれば、個人事業主として始めて会社を作っていくのが個人的にはおススメしています。
会社を作るとメリットもありますが、デメリットもありますので両方を考えて検討しましょう。